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全国コミュニティ・スクール連絡協議会 Japanese Council Of Community Schools

「地域とともにある学校づくりフォーラム ―2012 in 岡山―」

 概要 会長挨拶 開催地代表挨拶

平成24年2月11日に、岡山市ターミナルスクエアにおいて、第1回の「地域とともにある学校づくりフォーラム」を開催しましたので、その概要をお知らせします。

○ まず冒頭に、200席の会場を埋め尽くす参加者に向けて、会長の貝ノ瀬教育長から挨拶がありました。
貝ノ瀬会長からは、
・この4月にコミュニティ・スクールはほぼ1,000校になる可能性があること。
・地域によってはコミュニティ・スクールを導入する必要性がないと考えているところもあるようだが、地域連携を否定する人はいなく、地域の応援を受けながら教育活動を継続的・安定的に進めていくためには、一定の緊張関係の中での仕組みが必要であること。
・保護者等と議論を交わしながら学校運営を行うのがコミュニティ・スクールで、その目的は「子どもたちのため」に尽き、決して教員を管理するためではないし、管理するだけでは長続きしなく、あくまでも子どもたちのために学校経営を助けていくものなのであること。
・また、コミュニティ・スクールは、かかわる大人たちの学びの拠点ともなり、生涯学習にもつながる大きな教育改革の可能性を秘めたツールであること。 など、熱いメッセージが伝えられました。

○ 続いて、開催地である岡山市の山脇教育長から挨拶がありました。
(山脇教育長は連絡協議会の中国・四国支部長) 山脇教育長からは、
・岡山市では、地域協働学校として21中学校区105校園を指定していること。
・今後、すべての学校園に広めていきたいと考えていること。
・コミュニティ・スクールのねらいは、地域の絆をつなぐことで、推進に当たっては、それぞれの役割を考えていただき、ねらいを保護者に浸透させていく時間が必要であること。
・岡山市では、中学校区の盛り上がりを待って進めていきたい考えであること。
・今の社会は、学校だけでなく、すべての大人がかかわる姿勢が必要であること。
・岡山市のコミュニティ・スクールにおいては、子どもの地域行事などへの参加や地域との連携による授業の充実などの成果があったこと。
・一方で、マンネリ化や既存の組織との整合性を確保するなどの課題もあり、これからしっかり考えていく必要があること。
などが語られました。


 来賓あいさつ

次に来賓の山中文部科学審議官(文部科学省)からご挨拶がありました。

山中文部科学審議官からは、
・昨年7月の協力者会議提言で、今後5年間でコミュニティ・スクールを全公立学校の1割に増やしていく目標を掲げたこと。
・ここ数年、急激に伸びているのは、コミュニティ・スクールの成果の広がりであると評価していること。
・今、なぜ学ぶのかということを考え直すことが必要であり、社会に出てからの意欲など、これからの学力は学校だけではまかえないので、学校に社会の風を入れ、刺激を受けていくことが求められること。それは一斉授業だけでは難しく、学校は社会に開かれた存在になる必要があること。
・そのためには、コミュニティ・スクールが有効なツールとなること。学校を社会に開くことが求められており、そういう認識が広まってきていること。
など、地域とともにある学校づくりとコミュニティ・スクールの今後の方向性についてお話がありました。


 記念講演

その後の記念講演では、日本IBM株式会社の北城最高顧問から「今後の我が国の教育に期待すること」と題してお話しいただきました。
北城最高顧問からは、
・日本の就職の状況は8割が企業で、1割が自営業。9割がビジネスの世界に入るということで、企業の立場から、どんな人材が必要かを考えたいとのこと。
・ご自身が中学卒業時に「君は英語の成績が良くないね。」と言われたことを契機に、高校で一生懸命英語を勉強し、6か月努力すれば身に付くものだと実感したこと。言った側の先生は覚えていないと思うが、言われた側の子どもは良く覚えているものであり、先生や保護者の一言が子どもに大きな影響を与えるということ。
・今、日本は年金問題、過疎化、都市への人口流入、財政問題、対GDP比、国家予算の半分以上を占める借金、震災でさらに増す借金、財政再建、年金問題など課題山積であり、これからの社会で求められる人材像は、知識の吸収も必要だが、自ら課題を見つけ出し、知識を活用し、組み合わせ、新しい価値を創造していくこと、まさにイノベーションが必要。イノベーションの実現を担う人材の育成が必要であること。
・社会人の基礎力は、前に踏み出す力、チームで働く力、考え抜く力(生きる力)などで、企業は、どこの大学を出たかというよりも、学校で何を学んだのかということを重視していることが調査でも判明していること。
などのお話しがありました。

 コミュニティ・スクールの事例発表

○ コミュニティ・スクールの事例発表では、発表に先立って、本連絡協議会事務局長の佐藤教授(日本大学文理学部教授)から、コミュニティ・スクールについてのコメントと、今年度文部科学省の委託を受けて実施したコミュニティ・スクールの調査研究結果についての紹介がありました。

佐藤事務局長からは、
・コミュニティ・スクールを導入しない3つの大きな理由は、?校長がいらないと判断している、?類似の仕組みがある、?よく分からないなどがあること。
・法制度化され、フォーマルな協議会が学校の中に位置付けられるコミュニティ・スクール制度は、公立学校140年の歴史の中で画期的な仕組みであること。
・今回行った調査研究の報告はとりまとめ中であるが、コミュニティ・スクールで苦情が少ない学校において、減ったから少なくなったのか、もともと少ないのかを調べたところ、6割が減ったと認識していること。この制度は取組が長いほど、成果認識が高い状況であること(即効薬ではないということ)。
・校長の満足度も高い状況が見られること。
・今後も導入の拡大が期待できることも分かったこと。
などと紹介がありました。調査研究の報告書は本年度末には完成するとのことでした。

○ 続いて、岡山市教育委員会と岡山市立富山中学校が事例を発表しました。

岡山市教育委員会の平井課長補佐からは、
・岡山市では、コミュニティ・スクールを「地域協働学校」と呼び、中学校区ごとに指定しているのが特徴。
・地域協働学校の理念は、地域住民や保護者が一定の権限をもって学校運営に参画する合議制の機関であり、中学校区を一つの地域とみなし、学校・家庭・地域社会がそれぞれの役割を果たしながら、元気な学校、元気な子どもを地域で持続的にはぐくんでいくというもの。
・地域協働学校を導入した背景は、?岡山『人づくり』プランと岡山っ子育成条例、?保幼と小学校間などに生じる「学校間段差」の解消などである。
・中学校区で指定することの意義は、?学びの連続が保障できる(=岡山型一貫教育)こと、?保育園から中学校までが共通の課題をもった運命共同体であるという意識が芽生えることなどである。
・地域協働学校の意義は、?保護者や地域住民の学校運営への参画、?家庭・学校・地域社会の役割・責任を明確にした実践、?中学校区内の学校園が一体となった取組であり、このことによって地域全体での子どもたちの豊かな学びと育ちの実現が期待できる。
・岡山市では、地域協働学校連絡会を中学校区ごとに設置し、校区内の各学校運営協議会との連絡を密に図っており、連絡会は校区ごとに地域の実態を踏まえた運営がなされている。
・中学校区の特徴的な取組として、?学区のスローガンの設定、?家庭の教育力向上(子育てガイドブックの作成)、?地域力の活用(シニアスクールの開校)、?家庭・学校・地域社会の連携の促進(イベントの開催)、?子どもたちの自尊感情の向上(ポスター作成)、?情報発信(地域情報誌の発行)、?学力向上(中学校校区の評価項目の統一や教職員研修の充実、外部人材の活用など)などがある。

岡山市立富山中学校の難波教頭先生からは、
・富山中学校区は、地域コミュニティの基盤が強く、学区の子どもたちは、12年間同じ環境で育つ特徴的な地域環境であり、人間関係が固定化してしまうという課題もある一方、統一した取り組みがしやすいという利点もある。
・平成20年度(指定初年度)は、地域に対して「地域協働学校」の意味を理解してもらうため、学校園で統一した教育目標やめざす子ども像、家庭・地域・学校の役割分担等を載せたパンフレット作りを行う。
・活動方針は、?学校園の連携(接続のギャップを低くする取組)、?家庭・地域・学校園の連携(ボランティアなど)の2本柱である。
・平成21年度は、シンボルマークの募集を行い、学校園で配布する文書や冊子など様々なところで利用し始めている。
・平成22年度は、地域協働学校の啓発のためにシンボルマークを入れたクリアファイルを作成し、幼・小・中の児童生徒に配布した。また、さらなる啓発のため地域内の全戸に広報誌を年2回配布した。
・具体的な学校園の連携では、小学1年生が幼稚園児に昔遊びを教える交流がある。ただし、その遊びは小学1年生が地域住民から教えられたものであり、昔遊びを通して繋がりを深めている。
・幼小中の連携として、「あいさつ・人権ポスター」がある。これは、小・中学生からあいさつ・人権標語を募集し、優秀作品に幼稚園児の絵を加えて通学路に掲示している。
・地域や家庭との連携は、例えば、あいさつ運動(ケーブルテレビで紹介され、当日放映)や地域の清掃活動などがある。
・各種取組は、学区内連合町内会のホームページにも掲載されている。
・家庭・地域・学校が協働して学校運営に携わったり、地域の子をみんなで育てるという気運が高まり、地域の課題を踏まえ、地域が主体的に子どもたちに関わってくれるようになった。
・新規事業ばかりに目を向けるのではなく、既存の連携を整理して、そこに新しい連携を加えたり、ある部分を統合したりして連携を深めている。
・今後の課題は、各種団体役員だけでなく、一般住民をどのように巻き込んでいくのかということである。

○ 発表後、佐藤事務局長が事例をもとにまとめを行いました。
・地域との連携には3つのステージがある。?連絡調整・情報交換、?相互補完、?協働である。コミュニティ・スクールは、?の協働を目指すものである。
・今後目指す内容は、?補うこと(例:ボランティアの支援活動)、?正すこと(例:安全マップ、朝ご飯など、課題となることを解決していくこと)、?創ること(例:地域ぐるみのあいさつ運動、地域とともに学校をつくることなど、新しい取組を創り出していくこと。)である。


 総括講演

最後は、コミュニティ・スクールの構想段階からかかわってこられた鈴木寛前文部科学副大臣(参議院議員)の総括講演がありました。
  
鈴木前副大臣からは、   
・構想段階に始まり、予算化、河村文部科学大臣時代の法制化など、10年間コミュニティ・スクールにかかわってきたこと。今や、その運動が予想以上に充実し、教育委員会や学校において中身を充実していただいて、うれしく思っていること。
・岡山はしっかり考え、ブレイクダウンしてアクションとして具体化し、コミュニティ・スクールにおけるPDCAサイクルを回している。これまでコミュニティ・スクールについては「東の三鷹」と「西の京都」と言ってきたが、これからは岡山も加えて「御三家」ではないか。
など、コミュニティ・スクールの広がりや内容の充実に対してコメントがありました。
続けて、
・日本は単一の目標に向かって戦後工業立国となったが、今はそのモデルが限界にきていていること。
・大量生産、大量流通、大量消費、大量廃棄などをいかにうまくやっていくかという社会では、マニュアルを正確に覚え、高速に再生し、歩留まりをあげていくのかが目標であった。大量コピーやルーティンワークの精度を上げていくことから卒業し、この世界にないものを作るのが人間の仕事になっていくこと。そうなれば、コミュニケーション、知恵や文化が大事になること。
など、これからの日本人に求められることなどが述べられました。
さらに、
・これからは、イノベーション、グローバリゼーション、コミュニケーション、この3つがキーワードとなる。
・これからの人材育成のイメージは3つあり、タイプAはグローバルなイノベーション、タイプBは、グローバルなコミュニケーションができ、世界を相手に交流していく人材、タイプCはソーシャルヒューマンサービスであるということ。
・タイプCの教育、医療、福祉の分野では100万人雇用が増えていて、国内では20代の製造業の雇用を医療福祉の分野を上回っていること。こうなると何が必要かというと、日本語でいいので、立場と世代を超えたコミュニケーション能力が必要となること。そういう意味では岡山市立富山中学校は世代を超えたコミュニケーションの場を用意していてすばらしいこと。(都市部では、福祉学科の学生が、実はお年寄りと話したことがないということもあるそうです。)  
など、これから育成すべき人材についてデータ等も踏まえて分かりやすく教えていただきました。   
さらに、これからの授業の在り方にも言及され、
・学びのイノベーションが重要で、工業社会では一斉に何かを同じことをチームでやることが大切であったし、授業も一方向で、その中で育つことが優秀で、就職も良い時代であったが、今は、多様な出会いや多様な経験、多様なイノベーションが必要な時代であり、学びの個別学習と協働学習が必要となること。
・中学校の最大の問題は、学ぶ意欲を持たせることであり、そのためには、自ら身に付けたものをベースに、社会に新しい価値を提供することが充実した人生に不可欠であることを実感して、体感していくことで真の学びにつなげることが必要であること。
・日本の教育で最大の課題は、いかに指示待ち人間を脱するか。受け身的人生を脱し、いかにアクティブに能動的にしていくかの1点に集約でき、若者をパッシブからアクティブにしていくことが重要とのこと。  
などと述べられました。   
文部科学省の政策については、
・教員の数を3年間で1万3000人増やし、教員の質については教育実習の充実を図ったが、そうしたリソースを集めても学校のガバナンス改革の必要から、コミュニティ・スクール運動、学校支援地域本部、放課後子ども教室の全体を含んで、学校、家庭、地域が協力し、学校、家庭、地域の教育力をそれぞれあげて、好循環を図り、新しい公共型の創造、ガバナンスの創造を第3フェーズでしっかりやっていくということ。
などが述べられました。


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