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全国コミュニティ・スクール連絡協議会 Japanese Council Of Community Schools

全国コミュニティ・スクール連絡協議会 総会及び熟議」実施報告

 プログラム

平成24年2月10日に、京都市総合教育センターにおいて、全国コミュニティ・スクール連絡協議会が主催して総会と熟議を開催しましたので、その概要を報告します。プログラムは、以下のとおりです。

プログラム
1 総会
 ①13:00 開会
 ②13:00 会長あいさつ  貝ノ瀨 滋 会長(三鷹市教育委員会教育長)
 ③13:05 開催地あいさつ 高桑 三男 副会長(京都市教育委員会教育長)
 ④13:10 来賓あいさつ  山中 伸一 文部科学省初等中等教育局長
 ⑤13:30 報告・協議

2 パネルディスカッション、熟議
 ①13:50 パネルディスカッション
         ・パネリスト     山本 直俊 春日市教育委員会教育長
                    山脇  健 岡山市教育委員会教育長 
                    村上美智子 京都市教育委員会学校指導課参与
 ②14:40 熟議
 <テーマ>
 テーマ1:コミュニティ・スクールの戦略的活用(何のために、どう仕掛けていくか)
 テーマ2:小中一貫で進めるコミュニティ・スクール(何がポイントか)
 テーマ3:コミュニティ・スクールで取り組む「防災」(学校と地域は何ができるか)
 テーマ4:地域課題の解決とコミュニティ・スクール(地域性を踏まえた課題と解決策は何か)

3 16:00 熟議結果の発表
4 16:20 全体講評    鈴木 寛 前文部科学副大臣
5 17:00 終了

 総会の概要

【総会】
◆ 熟議に先立って行われた総会では、冒頭、東京都三鷹市教育長の貝ノ瀨会長から挨拶がありました。貝ノ瀨会長からは、「この4月には約1000校の学校がコミュニティ・スクールになると推察される。被災地の大槌町も導入に意欲がある。コミュニティの絆は、これからの教育に必要である。文科省もいろいろ事業化している。第2次教育振興基本計画にも盛り込まれるはずだ。このような中、この連絡協議会は大きな意味をもつ。」などと、今後の展望などが述べられました。


◆ 続いて、文部科学省の山中文部科学審議官からは、「昨年7月の協力者会議提言で、今後5年間でコミュニティ・スクールを全公立小中学校の1割(約3000校)に増やしていく目標を掲げた。コミュニティ・スクールは、地域づくりに貢献することにもなる。急速な高齢化、少子化、社会問題、65歳以上が40年後には全人口の40%となること、年金問題もある。働いている人、若い人に投資しないと大きな問題となる。学校教育の見直しが求められており、学校だけに任せておくのではなく、学校以外の人の力を借りることも必要である。いくら成績がよくても、意欲がないと学力が役に立たない時代となる。目標に向かう努力だけではだめで、そんな力を子どもに付けさせるべき。そのためには一斉教育だけでは力が付かない、いろんな体験を教育に取り入れるべき。そのために学校を社会に開く意味で、戦後の改革に継ぐ第2の改革が必要。学校の在り方を見直すこと、それがコミュニティ・スクールである。子どもは社会全体で育てる必要がある。本日の会の成果を地域に持ち帰っていただき、教育改革の先立てになっていただきたい。」など、現在の社会的な背景などを踏まえて、今必要な見直しの方向性や本連絡協議会への期待などが述べられました。


◆ 続いて、開催地を代表して、京都市の門川市長から挨拶がありました。
門川市長からは、
・京都では140年前にコミュニティ・スクールができた。明治天皇が江戸に行かれ、都の地位を失い、洛中は半分が消失。人口も減った。そのような中、子どもさえ育てれば未来は明るいと、64の番組小学校ができた。日本の公教育の始まりである。竈金の精神、竈の数ごとにお金を出しあった。学校運営にかかわる人材を育てた。これがコミュニティ・スクールの始まりである。
・地域の学校をつくったのは京都が初めてである。その後京都だけではなく、一気に全国に学校が増えた。地域の宝として、学校を大事にした。しっかりと子どもを育てようと、皆が知恵を出し合ったのが先人であった。だから今の日本がある。竈金の精神もすばらしい、かがやかしい歴史だけど、一方で差別の歴史もあった。今考えなればならない、町のリーダーが、自分のこどもだけではなく、他人の子も社会の宝として育てていく必要がある。
・大震災を経て、いろんな絆を見直されなければならない時代となった。明治維新後も同じだった。当時、アジアの中の日本として成長したのはなぜか、それは人を育てたからである。識字率を世界一とし、地域にリーダーがあったので、それが日本国の力につながった。自分だけではなく、自己中心的な考えではなく、みんなで親も地域も教員である専門家も、これを仕組みとして学校運営していくのがコミュニティ・スクールである。大きな可能性がある。
などと、京都市における学校教育の歴史を踏まえて、コミュニティ・スクールへの期待などが述べられました。

 パネルディスカッションの概要

◆ 熟議を開始する前に、パネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、まず、春日市の山本教育長から、発言がありました。

山本教育長からは、
・最初は、どうもコミュニティ・スクールのイメージがわかなかった。しかし、コミュニティ・スクールの取組についての評価指標を作る中で、どのような学校がコミュニティ・スクールなのかが分かってきた。それは、ともに子どもを育てる文化である。まさに地域とともにある学校である。学校、家庭、地域の連携による学校文化をつくることである。地域を生かす、地域を学ぶ、地域に還元する、地域と学ぶという4つの地域連携カリキュラムがある。学校と地域の役割分担を明確にし、それぞれ役割の重なる部分をカリキュラムに具体化したのである。成果は学校にクレームが減ったこと、学校、家庭、地域の役割がきちんとなった成果がある。学校の多忙化に結びつけると問題である。連携協働のまちづくりにもつながる。

岡山市の山脇教育長からは、
・岡山市では地域協働学校として取り組んでいる。岡輝中学校が導入のきっかけである。問題行動の多い学校で、地域としても課題のある学校だった。国から平成14年に新しいタイプの学校運営モデル事業を受けた。当初から、子どもの課題は地域の問題でもあると考え、同じ課題を共有していた。
・しかし、地域住民や保護者から学校への要望が一方通行であったり、地域等では、誰が決定する立場なのかが不明確であるなど、子どもを大人にしていく社会化機能が不十分であった。
・学校も課題を抱え込み、しつけ、食の問題、様々なことに教員が対応していた。学力を付ける以前の問題として、もっと他に力を付けるべきではないか考え、地域協働学校がスタートした。中学校区で子どもを育てるため、中学校区を一つの単位としている。岡山市は市域が広いので、地域性が異なり地域をひとくくりで語れない。中学校区の中で、幼稚園や保育園も加えて、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を果たしながら、縦と横のつながりの中で教育していくのが岡山の教育手法である。中学校区を一つのまとまりとして課題解決し、コミュニティ・スクールの中で共通理解を図っている。これがベースである。

京都市の村上学校指導課参与からは、
・京都市立御池中学校区の2小1中1幼稚園の中学校ブロックで、コミュニティ・スクールの取組を進めてきた。一昨年の2月に2小1中のコミュニティ・スクールで子ども熟議が開催された。企画段階から3校のコミュニティ委員がかかわって実施した。実施後、コミュニティ委員からは、子どものポテンシャルの高さなどを実感したとの言葉があった。コミュニティ委員の主体的な取組を見て、コミュニティ・スクールの取組がしっかり継続していることが分かった。
・この中学校ブロックでは、被災された地域の皆様への支援活動をすることとなった。復興支援の募金活動を行い、子どもの心のケアに音楽を取り入れたいという被災した学校の希望を踏まえて、楽器を贈ることにした。必要としているときに、必要なものを贈ることができたわけだが、子どもたちも含めて地域で支えていくという一体感があると感じた。コミュニティ・スクールによる学校家庭地域のつながりと、学校間のつながりがあることで、誰かが提案するとすぐに協議が進み、周囲からの理解も得られやすくなっている。
・子どもから見ても、地域の人や保護者など、皆が協力し合っているということへの実感がある。
・こうした成果の背景には、組織や仕組みの存在が大きい。つながりをつくっていくのがコミュニティ・スクールであり、その中心は学校である。将来のよき市民を育てる上でも、学校は地域とともにあるべきである。
・京都市立御所南小学校は、地域に根ざした総合的な学習の取組を通じて、200人を超えるボランティアがかかわっていたものの、まだまだ地域とのかかわりは広く浅いものであった。また、9学区の統合があったため、地域も広くなり、なかなか深くかかわることができなかった。このため、地域とのつながりをさらに深めたいということからコミュニティ・スクールに取り組んだのである。子どもを中心として地域のつながりを再構築したいという思いがあった。
・平成14年に文部科学省の研究事業に取り組んだ際には、組織をいかにつくっていくかが課題であった。組織をつくっても、どうしても形骸化してしまうということが別の学校でも課題となっていた。そこで、どのようにかかわる形をつくっていくのかを考えた。ポイントは3つで、1つは、子どものため、子どもに返る制度、仕組みにすること。地域の皆さんとのかかわり合いの中で、子どもにとって良かったと言えるような仕組みにすることが重要であると考えた。地域の皆さんの姿を見て、子どもが将来の担い手として育つことである。2つ目は、地域の皆さんに活動を通して学校を理解してもらうことである。子どもを通じて学校教育を理解していただくようにした。その中で厳しい意見をいただくこともあるが、学校のことを知らずに厳しいことを述べることとは違う関係をつくりたかった。もう1つは、組織のコンセプトであり、何のために地域が学校に入るのかということを理解してもらうことが必要である。やってもらう、やってあげるという関係ではなく、子どもたちをよき市民に育てるというコンセプトであると伝えたところ理解していただいた。これらがポイントである。
 
などと発言がありました。三者のコミュニティ・スクールの歴史や目指すことなどが明らかとなりました。

 続けて、岡山市の山脇教育長から、 
・導入から7年経過し、学校から、地域の盛り上がりを待って、少しずつ広がりを見せている。
・岡輝中学校では、学校の状況を隠さず地域に出したことが大きなきっかけとなった。意見を言うことにもつながって、時間はかかったが、地域からの盛り上がりが大切である。情報をいかに出していくかが重要。
・人事面でも考えなければならない。意識の共有が大切であることから、小中学校の教員、管理職の交流についても充実させ意図的に取り組んでいる。課題はメンバーが固定化しつつあること、実働部隊が生まれにくいこと、既存の組織との整合性、重複があるところを整理することなどである。  

と発言がありました。これに対し、春日市の山本教育長からは、次のような発言がありました。
・経費の予算化が課題である。
・成果としては、町の中に子どもが育っているという当事者意識が高くなった事実がある。子どもに対するかかわりや、地域の子どもを見る目が温かくなった。そうゆう風土ができるのが、コミュニティ・スクールの成果ではないだろうか。   

最後に京都市の村上学校指導課参与から、 
・子どもに返る取組が重要である。学校に愛着をもつ子ども、学力の高い子どもなど、子どもに返るという意識が必要である。  
と発言があり、パネルディスカッションが終了しました。


 熟議の概要


 テーマ1 コミュニティ・スクールの戦略的活用 【グループ1・2・3】
 【グループ1】
○ コミュニティ・スクールの取組をより効果的に推進するためには、委員やその候補となる人材の育成や、地域
  住民や保護者、教職員など関係者の意識改革が重要である。
○ そのためには、次のようなことに取り組むべき。
 ・関係者に、「コミュニティ・スクール=ともに学んでいくこと」という意識を持ってもらうこと。
 ・実働部隊として実際に協働しながら、関係者の力量を高めてもらうこと。
 ・地域の子どもは地域で育てるということを理解してもらうこと。
 ・地域主体の運営組織や主体的に動ける地域人材を育成すること。
 ・市町村教育委員会が学校運営協議会の実践交流などの研修機会を設けること。
 ・首長部局とも連携して、地域協議会等の地域組織に対して広報するなど、コミュニティ・スクールの取組を普
  及啓発すること。
 【グループ2】
○ コミュニティ・スクールの活用を一層進めていくには、市民の意識を高めていくことや財政支援や人的支援、
  人材育成、教員の意識改革などが求められる。
○ そのためには、以下のような取組を進めることが考えられる。
 ・法制度的なことも含めて、学校とはどのようなところなのか、また、学校の役割や家庭の役割について理解啓
  発すること。
 ・地域住民や保護者の学校へのかかわり方をガイドブックなどにして示し、理解の促進を図ること。
 ・委員に研修してもらい、他の既存組織とは違う学校運営協議会ならではの関わり方をしてもらうこと。
 ・教員と地域住民等とのギャップをうめるため、会議を重ねること。
 ・首長部局と連携し、コミュニティ・スクールについてパブリックコメントを行うなど。
 ・担当教員を決め、その教員の事務的負担を減らすこと。
 ・教職員にとってのメリットを提示すること。
 ・公民館主事の活用により長いスパンでコーディネートを実現すること。
 ・導入時の2年間はコミュニティ・スクールについての研修に特化すること。
 ・校長、教頭、教務主任が情報共有できるようにすることや取組の進捗を確認すること。
 ・コミュニティ・スクールとしての校務分掌をつくり、校内体制を整備すること。
 ・導入時の2年間は、非常勤講師などの人材を配置すること。(実例あり。)
 ・首長部局の職員をコミュニティ・スクールに出向かせ連携につなげること。
 【グループ3】
○ コミュニティ・スクールを戦略的に活用していくためには、地域との関係づくりや教職員等の意識改革が重要
  である。
○ 何のために取り組むのかという目標を設定すること、コミュニティ・スクールがまちづくりにもつながるとい
  うことを地域の皆さんに伝えて不安を解消することが大切である。
○ 学校と地域をつなぐ管理職とコーディネーターの役割が重要になってくるが、コーディネーターには地域の方
  や学識経験者などがよいのではないか。

 テーマ2 小中一貫で進めるコミュニティ・スクール【グループ4・5】
 【グループ4】
○ 小中一貫のコミュニティ・スクールを進めるためには、小中が連携するための組織づくり、教職員等の意識改
  革、小中の校区の見直しなどの取組をする必要がある。
○ そのためには、以下のような取組を進めることが考えられる。  
  ・研修などを通して小中の教職員の意識改革を行うこと。  
  ・中学校区にコーディネーターを配置し、小中のコミュニティ・スクールを一本化すること。  
  ・教育委員会が小中の教員に兼務発令を出すことを検討すること。  
  ・9年間を通した学力向上に繋がるカリキュラムを編成し、小中のチームワークをはかること。  
  ・公民館が中心となって、地域や保護者の課題を集約し、コミュニティ・スクールの支援システムを整えるこ
   と。
 【グループ5】
○ コミュニティ・スクールを基盤として小中一貫の取組を進めるためには、小中間のコミュニティ・スクールの  仕組みをいかにつなぐかが鍵となる。また、まずは「連携」と「一貫」の違いを理解することが大切である。
○ 小学校と中学校では敷居の高さに違いが感じられる。そこで、以下のような取組を進めてはどうか。  
  ・交流人事促進により異校種間の理解を図ること。  
  ・兼務命令をかけ、異校種間での連携を図ること。  
  ・交換授業を行うこと。
○ 9年間を見通したカリキュラムの作成が必要だが、自治体では人手が足りずカリキュラム作成まで至らない。
  そこで、以下のように取り組んではどうか。  
  ・すべての教科に取り組むことも大切だが、先ずは先導教科を決め、作成に取り組むこと。  
  ・教科部会等、研究部会との連携を図り作成すること。 ・地域性を活かしたカリキュラムを作成すること。

 テーマ3 コミュニティ・スクールで取り組む「防災」 【グループ6】
 【グループ6】
○ 校庭及び校舎については、活断層や砂地、国道や鉄道等環道など立地の問題、耐震基準に満ちてないことなど
  の課題があり、この解決が重要である。
○ 行政間の連携・連絡などは行政職員が上手く行えるが、地域の方との連携は教師が上手い。地域社会には、子
  どもだけでなく教師をも含めて「学校」というものへの期待がある。東日本大震災ではマニュアルを超えた対
  応を迫られた。マニュアルを超えた判断は必要だが、備えも必要となる。普段からの準備(学校や地域に対す
  る周知)が大切であり、マニュアルの再編を図ることも重要である。東日本大震災は昼間だったが、夜間の際
  を想定した備えが必要である。
○ 非常時には中学生が戦力となる。地域の特性や、防災への意識を子どもに教えることが重要である。子どもに
  教えるためには大人も知っておかねばならない。子どもたちにも熟議をさせるとよい。
○ 学習指導要領にもある生きる力:「基礎・基本を身につけ活用力を育む」は、防災にも当てはまる。


 テーマ4 地域課題の解決とコミュニティ・スクール 【グループ7・8】
 【グループ7】
○ 地域によっては小学校区に複数の自治会ある場合や自治会加入者率に格差がある場合などがあり、複数のコミ
  ュニティをどのように一本にまとめるのかが課題である。この解決に向けては、PTA組織の活用や首長部局
  にある地域コミュニティ運営委員会との連携、目的に照らして地域にある各種組織を整理することが考えられ
  る。
○ 地域との連携を進める上では情報提供や情報管理が重要だが、学校内外の情報の提供方法やどこまで情報を出
  すのか、その基準は何かなど課題がある。また、地域活動のための予算確保や地域コミュニティとコミュニテ
  ィ・スクールとの連携に課題がある。この解決に向けては、学校行事や地域行事を調整する部署の設置や地域
  と学校の情報を共有するカレンダーづくり、市内地区の回覧板による発信、学校行事・地域行事・共同行事の
  明確な提示。HPの活用、公民館への学校掲示板の設置、地区集会や学校支援団体の定例会への出席、学校に
  おける地域掲示板の活用などの手法がある。また、良い点や課題をすべて公開することで連携が進む。
○ 地域人材の不足を解消することやボランティアがどこまで携わるのかを明確にすること、意識を共有化するこ
  と、学校教職員への負担(軌道に乗るまで)という課題がある。この解決に向けては、ボランティアの意識面
  の違いを解消していくこと、市内ボランティア組織の把握と呼びかけ、地域リーダーの(継続した)活用、P
  TAと連携した人材育成、学校支援ボランティア(?サポートティーチャー?ゲストティーチャー)の活用な
  どが考えられる。
 【グループ8】
○ 地域コミュニティと学校とのつながりを深め、郷土を愛する子どもをはぐくみ、ふるさとの担い手を育てる上
  で、関係者の負担感の軽減や教員の意識改革、学校と地域との思いのずれの解消、地域からの参加率を上げる
  こと、既存組織との協働の実現、子ども自身の参加促進などの課題がある。
○ これらの課題を解決するには、以下のような取組が考えられる。
  ・学校の敷居の高さを解消し、学校とのかかわりをもつ機会を増やすこと。
  ・ボランティアの例会を学校で実施して、給食を食べながらなど工夫。
  ・学校支援地域本部事業を中学校区で実施したり、コミュニティ・スクールと一体化すること。
  ・公民館機能との連携や実働部隊増やすこと。また、若い力を活用すること。
  ・地域に発信、共有して協力を募ること。目標の設定、アンケート、熟議の普及。
  ・コミュニティ・スクールで地域と学校の関係を再編すること、地域の力を有効に活用すること。
  ・学校評価での意見を活用すること(言いっぱなしにしない)。学校評議員との課題の共有や地 域貢献に特化
   して協議すること、また協議会で熟議すること。
  ・総合的な学習の時間をコミュニティ・スクールの中で取組むこと。地域とつなぐための仕組みづくり(地域
   と学校が協働する「教育の日」の実施など)。
  ・学校と地域の意識のずれ(意外と地域の方は知らないことが多い)を解消すること。地域の大人の思いとい
   うものがあるはずだが、なかなか伝わらないしつながらない
  ・挨拶することや、子どもと地域住民との協働でつながりをつくる。これから増えてくる団塊の世代が重要。
  ・負担感は、教員のやりがいとの関係がある。子どもの姿を見て軽減するもの。

 講評

熟議のまとめとして、まず4つのグループから発表があり、その後、鈴木寛前文部科学副大臣から講評がありました。   
鈴木前副大臣からは、
  
・この1年間を振り返ると、昨年3月11日の東日本大震災後、震災復興に大きなエネ ルギーをかけてきた。期せずして「絆」というキーワードが出てきたが、それはコ ミュニティ・スクールが大事にしてきたコンセプトでもある。大きな意味でコミュ ニティが大事であるということが教育のみならず全ての社会づくりの中でも認識さ れた。

・宮城県では多くの学校が避難所となったが、改めて災害時において学校はコミュニ ティの中心にあることが確認された。注目すべき調査があり、学校支援地域本部を設置していた学校とそうでない学 校が、あきらかに避難所の立ち上げにおいて有意な差があったとの結果がまとめられている。地域本部を設置してい た学校においては混乱なく避難所がたちあがったとの結果であった。震災復興においても広い意味でのコミュニティ ・スクール運動は漢方薬のように地域力、学校力の強化につながっているなと感じた。

・この2年間「熟議」をやってきたが、コミュニティ・スクールは指定することに意義があるわけではない。中には「 名ばかりコミュニティ・スクール」になる懸念もある。日本は手段と目的が入れ替わる癖があり、数を増やす目標も あるが、その先に学校が良くなり、日本の教育が良くなり、子どもが良くなるということのためであると常に確認し ながらやっていく必要がある。真のコミュニティ・スクールにしていくための手法のひとつが「熟議」ではないかな と思う。

・大きく言えば、日本人をつくりかえたい。大人にも学び直すきっかけをつくり、若い世代に育ってほしい。学びの目 標を定めて、地域と学校がうち解け、まさに目標を漠然とせず、言語化して、実践を見直し、進化させて、常に保護 者や地域、学校の教職員の中で確認していく、このコミュニケーションが重要である。国民のみなさんの、地域の、 国の「判断力」や「問題解決力」を育てたい。

・釜石の防災教育の本質は「判断力」を身に付けていくことである。マニュアルに頼らない、高次元の判断力を身に付 けることが目標である。防災教育にとどまる話ではなく、日本全体の教育の課題である。この国は上意下達文化が染 みついており、文科省も含めて日本社会全体に染み付いており、そのことが震災の様々なところで弱点を露呈したこ とが毎日のようにあった。これを徹底的に現場が状況判断して、様々な知恵や情報を編集ながら、的確に正確に立体 的、多角的な問題行動の分析をし、現場及び専門家の情報編集によって解決し、すみやかに実践に移し、正解はない ので直ちに修正して、フィードバックしていくことを指示を待たずして行動に移す。これまではあまりに上位下達だ ったので、いきなりは無理。現場でどうやって応援するのか、そうした方向に向けて、国も大きく舵をきっていく、 そのことを今日お集まりいただいた方々が先導役として、道なき道を行くので大変だが、頑張っていただきたい。

・本日の熟議では大勢に集まっていただき、他のメンバーからの知恵ももらったと思うが、自分の中に眠っていたものが創発するきっかけ、刺激を、頭の活性化が大事である。地域でも最後は知恵や力を集めてデザインし、いろんな人にいかにして広めていくかが大事である。その結果として子どもたちの判断力を育てていきたい。

・昨年は小学生向け子ども熟議のパンフレットを作成し、今年は中学校熟議パンフレットも作成した。みなさんは意味や意義を熟知しているので、熟議を現場から進化させていただく主役になっていただきたい。人材育成、今までは決められていたマニュアルを現場でいかにこなすかが求められていて、そのことでは日本は世界一である。成功体験を乗り越えて、新しいことを学び直すことは大変であるが、日本は今その壁に当たっている。現場も教員も学ぶ人になってもらいたい。主体的に学ぶ教員から主体的な子どもが育っていく。

・小中一貫の課題が出ていたが、コミュニティ・スクール運動が進化してきた証である。小学校と中学校は違うのが当然で、健全な問題認識である。これからは高校もコミュニティ・スクールにしていかなければならない。リージョナル・コミュニティではなく、テーマ・コミュニティである。大学も同様にテーマ・コミュニティである。大学は特に広いステークホルダーをもっている。これまでのステークホルダーは狭く、生徒や保護者、監督官庁のみの狭いものであったが、特に大学は広い実業界とのつながりがある。そのステークホルダーのコミュニティのガバナンス、開かれたコミュニティによるガバナンスで高校や大学をつくっていただきたい。

・小中学校においても子どもと保護者の関係は、小学校と中学校では劇的に質の変容がある。その結果として家庭教育の有り様は本質的に違う。コミュニティ・スクールの有り様も違う、PTAも違う、地域とのかかわりも違う。だからチャレンジがある。教育政策を考える上で、制度を変えるだけではなく、最後は文化も変えないといけない。まさにコミュニティ・スクールもそういう運動になっていただき、風土や文化を変え、プロジェクトをしかけ、日本にしみついた文化を変えていく、そのための学校の役割を変えていくことから、小中一貫を変えていただきたい。

・文科省には初等中等教育局、生涯学習政策局、スポーツ・青少年局の3局があり、みな同じ課題に取り組んでいる。昨年度はスポーツ立国戦略を立てた。スポーツ基本法もつくった。ポイントは、コミュニティに基づいたスポーツクラブをつくっていくことである。スポーツを基軸にした地域コミュニティとうまくシンクロさせることが課題である。コーディネーションさえうまくいけば、スポーツコミュニティ人材はかなりいる。うまくマネジメントしていく必要がある。中学校コミュニティ・スクールの鍵はここにある。例えば女子のサッカーの部活は物理的に無理(人数が集まらない)。子どもたちのスポーツに親しむ権利を保障し、たまたま住んでいた地域でチャンスを奪われることのないようにしたい。これでは基本法の理念は果たせない。例えば女子サッカーのように、総合型スポーツクラブが学校の枠をこえて取り組むことも、是非考えていただきたい。中学校は部活動が大事だが、少子化の中で、得意でない人が部活の顧問をするような課題もあり、その延長線上で、うまく成功すると何か新しいモデルができるのではないか。

・中学生に対してキャリア教育を一生懸命やっているが、その中で自分は人の役に立つという自尊心、自己肯定感、本心で感謝してもらえたという社会体験をすることが大切。集中的に中学生が社会に対し貢献するモデルを皆さんと一緒に考えていきたい。例えば避難訓練などもそうである。都会の問題ではあるが、私立学校に通う生徒は地域との関係が切れるので、放課後に地元のスポーツクラブに行くなどの放課後戦略、周辺からの縁側戦略、徐々に人間関係や成功体験を積んでソーシャルキャピタルを高めていく。外堀をかため、内堀へと進めることはあり得るし、防災の問題も同じで子どもに付けていきたい力である。真剣に同じテーマで、基礎基本は徹底した上で具体定事案に対応する。必ず想定外というものは起こる、想定していないことが起こることがリスクであり、リスクマネジメントの本質は想定外にいかに対応していくかである。そのためにはコミュニティ・スクールによる学校づくりが必要である。

・最後に、京都市教育委員会のファシリテーションの能力は高いと感じた。日頃から熟議、会話を積み重ねているのではないか。本来熟議は、同じ問題や関心、同じ課題をもつ多様な人々が集まるのが有効である。本日、現場の先生方にも参加していただいたことは有意義であった。行政の多様性も加えながら、さらに伸ばしていただいて、熟議を広めていただきたい。全国コミュニティ・スクール連絡協議会が日本のコミュニティ・スクール推進のエンジンであるので、益々の活動の充実を期待したい。来年には間違いなく1000校を超える記念すべき節目になる。こうしたネットワークは大事であるので、これからもよろしくお願いしたい。 など、多様な視点からコミュニティ・スクールの意義や今後の広がりと内容の更なる充実についての期待などが述べられました。


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全国コミュニティ・スクール
           連絡協議会

〒604-8571
京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488
京都市教育委員会事務局指導部学校指導課内

TEL 075-222-3801